今年のOmiyaget.comの計画【中間報告】

airbnbのシェアハウス

とにかく書かなきゃならないのに、ずっと書くことができなかった。帰国後あまりにも多くのことが起きて、ブログに全く時間を割けなかったのだ。僕の報告を楽しみにしてくれている人には本当に申し訳なく思っている。特に、僕が旅に出る前の「Take-offパーティ」に来てくれた人たち、おみやげがどうなったか報告するから、という約束でヨーロッパで売るおみやげを僕にくれた人たちには、なんと言い訳していいのか分からない。本当は一人ひとりお礼とお詫びを伝えたいのだけど、一日の終わり、どうしてもそのパワーが残っていなくて、なかなかそれをできないでいます。この記事をもって、どうにか許してやって貰えると嬉しいです。

まだ旅の報告が途中だけど、今日はフライングして帰国後に起きた素晴らしい出来事について書いていきたいと思う。それが起きた時に甘く期待していたよりは苦労も多くて、手放しで喜んでいられるほどの状況ではないけれど、僕にとって、これは何かの奇跡にしか思えないほどの出来事が続いている。頑張って大変な時期を乗り越えて、この奇跡を次に繋げて行きたい。

フランスのフードコンサルタントが、Omiyaget.comに興味を持ってくれた!

 まず、帰国後一番の大ニュースは、フランス進出時のスターバックスやディズニーリゾートのフードディレクターを務めたLaurenceという女性が、僕のプロジェクトに興味を示してくれたことだ。彼女は自分のコンサルティング会社を”Wasabi-Line”と名付けるほどの大の日本好きで、彼女の周りにいる日本好きのシェフや、食品ビジネスに関わる人たちのグループを集めてくれている。僕の方では、フランスの文化や食に興味がある日本人のグループを集め、彼らと非公開Facebookグループなどを利用して交流の場を設けようと考えている。そこでは、たとえばフランスでは知られていないであろう日本の地方名産品や、逆にフランス国内でしか手に入らないような食材を紹介し合って、お互い欲しいものがあったらまとめて送ったり、実際にお互いの国におみやげをもって訪問するような企画を考えている。そこで面白い商品が見つかったら、きちんとビジネスにつなげようという算段だ。まだ詳細は詰められていないのだけど、うまくことが運べば、僕は4月の桜の時期に彼らを日本に招待して、日本各地の美味しいもの食べ歩きツアーみたいなのを開催したいと思っている。それがうまく行ったら、次は日本からフランスを訪れて、彼らにフランスの一番いいところを案内してもらいたい。その時には、彼らが日本訪問時に見つけたお気に入りをおみやげに持っていけたらステキだと思う。これは絶対に他ではできない新しい体験となるはずなので、是非実現したい。この交流会に興味がある人がいたら、コンタクトからお気軽にご連絡ください。今年はフランスを皮切りに、いくつかの国とこういう少人数の交流グループを作って、クローズドな環境でOmiyagetのトライアルをしていきたいと考えている。この旅行で出会った人や、この旅行のことを聞いて興味を持ってくれた人たちのおかげで、現在ドイツ、台湾、それからポルトガルにもいいつながりができている。

(たぶん)心強いパートナーと出会った!

 Rakuのことをどう紹介していいのだろう。つきあいも少し長くなって(それでもかなり濃いつきあいだ)お互いのいいところも悪いところも見えて来た今、もう一度ここまで強く言い切っていいのか100%の自信は持てないけど、Rakuと出会った時は、大げさではなく彼こそ神様が遣わせてくれた救世主だ、とすら思った。Rakuは僕の大学の同窓生なんだけど、僕は在学時には彼の存在さえ知らなかった。彼と知り合ったのは、大学の共通の友人がfacebookでOmiyaget.comの投稿をシェアしてくれたことがきっかけだ。ちょうど彼もairbnbに関わるビジネスをしていて、シェアリングエコノミーに関心を寄せていた。そんな時にこのサイトを知って、受け取った僕がびっくりするくらいの熱いメッセージを送ってくれたのだ。それだけではなく、卒業後僕とは正反対のお堅い進路をたどった彼の豊富な人脈を生かして、輸出入や旅、文化に関わるビジネスの世界で活躍する人たちを僕に紹介するためのグループまで作ってくれた。もちろん彼には彼なりの計算はあるのだろうけど、まるで、僕が必要としていたチームをまるごと連れてきてくれたようだった。中でもありがたかったのは、パリ在住も長く、フランス政府から何とかという認定を受けた唯一の日本人バレーインストラクターだという、Kさんを紹介してくれたことだ。現在は子育てで日本に戻ってきていて、Rakuの紹介のおかげでOmiyaget.comを手伝ってくれるという。自分とLaurenceを
比較して、彼女のバリバリのキャリアと、世界を相手にビジネスを成功させてきた強気の姿勢に太刀打ちできるか不安になっていたところでもあったので、フランスの言葉にも文化にも精通したKさんの登場は心強かった。冗談ではなく、ほんの小さな誤解が何か大きな問題につながってしまうことだって充分考えられる。齟齬をなくすためにもちゃんとしたフランス語を話せる人がしっかりと双方の意思確認を行うことが必要だと考えていたところだった。他にも意外なところに共通の友人がいたり、このタイミングで、このようなつながりができたのは、まるで何か不思議な力が働いているかのようだった。「引き寄せ」という言葉はあまり好きではないけど、それを言う人たちは、こういうことを言っているのかもしれないなぁ、と納得してしまうぐらいだった。でも、結局何より僕が一番嬉しかったのは、Rakuというつい数ヶ月前まで赤の他人だった人間が、僕のやっていることに共感して手をさしのべてくれたことだ。僕が旅に出る前、僕は一人だった。もちろん、日本で僕を応援してくれている人、僕のことを陰で支えてくれている人は大勢いる。でもRakuのように僕と同じ方向に足を進めて、実際の援助をさしのべてくれた人が現れたのは初めてのことだった。僕は、彼を信じなくて、これから進んでいく先で誰を信じればいいのかと思った。自分でも信じられないけど、僕はその時知り合って1週間程度の人間を、これからしばらく道を共に歩むパートナーに選んだ。

神戸で、旅人対応のシェアハウスを受け継ぐことになった!

 偶然のタイミング、偶然の出会いはそれだけではなかった。本業の方で相談があって話に行ったO君が、彼が運営していたシェアハウスを手放すことに決めたという。そのシェアハウスがある神戸の水道筋商店街という場所は、未だ20世紀の日本が続いているような珍しい元気な商店街で、中にある市場なんて僕が日本を訪れる外国人だったら一日探検して遊びたくなるような場所だ。最近「民泊」という言葉でニュースを賑わせているAirbnbを、まだ日本では、いや、世界でも知っている人がほとんどいなかったころから続けている僕には、こんな魅力的な遊び場を閉めてしまうなんて、もったいなくて仕方がない。あまり深く考える前に、つい、「ここを僕に引き継がせて欲しい」と頼み込んでしまった。本当は、僕とO君、それからもう一人(この時点ではまだ誰を探すか検討もついていなかった)が出資してここを運営し、利益はみんなで分ければいいと思っていた。残念ながらO君はこの物件に関してはけじめをつけて、別な新しいことに挑戦したいということで参加して貰えなかったけど、僕の考えはこうだった。一人でこの場所を維持するのはキツくても、負担が1/3ならきっとこの場所を上手く回すことができる。ここに定住する日本人をメインのターゲットにするのではなく、日本を訪れる観光客が喜ぶような場所にすれば、人気が出るに違いない。

 それに、旅人におみやげを買ってきて貰おうという僕のプロジェクトOmiyaget.comにとっても、旅人が実際に訪れる場所を持つと言うことは、とても重要な意味があることだ。旅人に商品を運んできて貰うOmiyaget.comでは、実際に運んできたモノをどうやってそれを希望する人に届けるかが常に問題になってくる。僕は、この水道筋のシェアハウスを、旅人が日本へ持ってきてくれたものを一旦集約する、ロジスティックセンターのように使えないかと考えている。フランスのLaurenceも同じような考えを持っていて、僕や、Laurenceのような”Ambassador(大使)”が世界中にいてそれぞれを繋げたら、きっとすごいネットワークになると話したばかりだ。日本とフランスがうまく行ったら、次は彼女の日本好き仲間のドイツ人を繋げようとも考えているらしい。

 さっそく、たまたま別件で連絡のあったRakuに話をすると、彼は即決で話に乗ってくれた。実は彼と始めて実際に顔を合わせたのは、このシェアハウスを内覧に行く時だ。Rakuはどちらかと言えば、収益目的にAirbnbを運用するプロ、僕は言ってみれば国境を越えた交流や楽しみのためにAirbnbを利用するプロだ。その二人がこの物件に大きなポテンシャルを感じたのだ。単純に「民泊」物件としてもきっと収益をあげてくれ、Omiyaget.comの実現に力を貸してくれるに違いない。僕には、ここに賭けてみる以外の道はない、とまた覚悟を新たにした。

 問題は、現在法改正を目前に「民泊」をとりまく状況が非常に不安定で、10部屋もある大型物件を大々的に宣伝して運用することが難しいこと、O君が参加しなかったことによって、それぞれの負担が予定より多くなってしまったことだ。また、O君の事業を引き継ぐ形で運営を始めるため、きっと割り引いてくれると期待していた不動産関連手数料を、がめつい不動産が全く引いてくれなかったことも、ダメージが大きかった。(書類のコピーをつくってサインするだけでウン十万なんてアコギな商売はこれから通用しなくなりますよ。Yさん。)と言うわけで、もともと覚悟はしていたものの金銭的には非常に苦しいスタートになってしまった。僕のやっていることに興味がある人は、是非僕のシェアハウスに泊まりに来て、少しでも協力してくれたらとても嬉しい。大阪までも電車で30分、宿泊料もとても低く抑えているので、関西に来る用事がある人はきっと便利に楽しくつかって貰えるはずだ。
何より商店街の中に安くて美味しい店が山のようにある。安く神戸牛が食べられるので有名な鉄板焼きやもすぐそばだ(安いと言っても、それなりに結構なお値段だけど)。きっと支払った額以上に楽しめると思いますよ。

https://www.airbnb.jp/rooms/10969242
https://www.airbnb.jp/rooms/10815160

旅館業法法改正の動きを通して、いろいろな人とつながりができつつある!

 ここに関しては今非常に微妙かつ大切な時期なので、あまり多くを語ることができないのが残念だ。でも、今僕を最も忙しくしているのは、この部分だ。ざっくり言って、日本は今、「民泊」というある意味分かり安い事象を通して、「シェアリングエコノミー」という今後の世界経済の一角をなすであろう新しい思想に出会っている。Airbnbという「民泊」という分野を開拓したwebサービスに深く関わってきた僕は、望むと望まざるとそれを巡る政治的な動きにも関わることになってしまった。正直うんざりするような人たちとも沢山会わなければならないのだけど、逆に少数の、今後重要な仲間になってくれるかもしれない人たちとも出会った。僕は既得権益者が「民泊」を骨抜きにしてしまうのを阻止できるかどうかに、今後の世界での日本の立ち位置が決まると思っている。日本は今、本当の意味での開国を迫られている。現在、「旅館業法施行令の一部を改正する政令案」及び「旅館業法施行規則の一部を改正する省令案」に関するご意見の募集について」というパブリックコメントの受付が開始されている。是非改正に向けて前向きなコメントを入れて欲しい。現在のままだと、需要が増えたからといって1泊3万もの料金をボッタクろうとするAPAホテルや、つまらないマンションディベロッパーに未来の芽を摘まれてしまう。

 この件も、うまく行けばおいおいいろいろな裏事情を書いていきたいと思っている。楽しみにしていて欲しい。