説明
例によってパッケージがかわいかったのと、フランスでもっとも親しまれている食卓塩ということで購入してみた。こういう、本当の庶民の味ってすごく気になる。それにアメリカのMORTON SALTもそうなんだけど、塩のパッケージってなんか僕の好きな共通項がある。同じMORTON SALTのパッケージが、日本ではこうなっちゃうのが何とも悲しい。
cerebosは、たぶん健康に気を遣う人は選ばない、まさしく庶民的なブランドなんだと思う。日本の食卓塩と同じ系統。そういえば、食卓塩のボトルのデザインはキライじゃない。塩事業センターのロゴさえなければなぁ……
なんとなく気になったので、”cerebos”をググってサイトを見たら、なぜかシンガポールの住所が書いてある。この時点でかなり不思議に思ったんだけど、おかしい点はそれだけでない。他にもいろいろと僕の買ったcerebosと違うところがある。
まずフランス版のロゴと、すんげー微妙に書体が違う。eとéが違うのはまだ許せるとして、Cの曲線のカーブ具合とか、フォントのウェイト(太さ)が違うのはおかしい。ちゃんとしたブランドのロゴには必ずムチャクチャ細かい決まりがあって、ロゴから何%の領域に他のものを入れるな、とか、柄のある下地に乗せるなとか、30ページぐらいの使用ガイドラインがあるのが普通だ。フォントのウェイトを変えるなんて御法度中の御法度のはず。
たまにブランドロゴを見て「こういうので大金を貰える人はうらやましい。オレならコレ○万で作るのに」みたいなことを言う人がいるけど、こういうガイドラインの策定や、オリンピックでも問題になった類似ロゴの調査やらなんやらが大変だから、本気のブランドロゴ作成は高くなるのだ。適正価格がいくら位なのかは全く闇の中ですが。僕の場合ロゴデザインは大抵3〜5万くらいの価格帯でサクっと作ることが多いです。もちろん値段なりのことしかしません。やることの大変さに応じて、値段も上がっていきます。こんなんでもお仕事のご依頼がいただけるならこちらから。
閑話休題。フォントのウェイトや曲線のカーブを変えるのが御法度なのは、偽物と区別するため。逆に言えば、偽物と区別するためのものがブランドロゴなんだから、その本物ロゴが何種類もあっちゃまずい。これ考えれば当たり前。Cerebosの一見区別がつかない微妙な違い方は、どっちかがもう片方をパクってるようにしか見えない。
しかもだ。サイトロゴにはA SUNTORY GROUP COMPANYとある。まさかとは思うけど、サントリーが海外のブランドを意図的にパクって、さらにシンガポールで販売してるとしたら、オリンピックのロゴパクリ騒動どころの騒ぎじゃない。逆のパターンだとしても、サントリーの弁護士チームがこんな堂々とブランド侵害されているのを許すわけがない。絶対何か理由があるはずだ。
さらに僕の好奇心を刺激したのは、パッケージに描かれているイラストが意味不明な似かたをしていること。フランス版は、男の子が飛んでいく鳥を追いかけている、ちょっと星の王子様チックなかわいいイラスト。サントリー版に描かれているのは、えーと、、男の子が、鶏に塩をかけて追い払ってる??一体どういうことなんだろう?鳥を追いかけているのは共通しているんだけど、この違いはなんだろう。
サントリー版のコピーには、”See how it runs” (それがどんな風に走るか見てごらん)とある。たぶん、鶏(it)が走る(run)のと、塩(it)が詰まらずどんどん落ちる(run)を掛けているのだろう。MORTON SALTのコピー”When it rains, it pours”が、「雨が降れば土砂降り(it pours)」と、「雨が降ってる時でも、塩がさらさらと流れ落ちるように出る(it pours)」を掛けているのと同じ系統のアイディアだ。昔は、炭酸マグネシウムが加えられて湿気が抜けさらさらになった塩が、ブランドの売りになっていたのだ。それにしても、なぜ鶏に塩をまく。よっぽど無礼な鶏だったのか、それとも描いてあるのは鶏じゃなくてナメクジなのか(実際そう見えなくもない)。
気になって検索してみたら、いろいろ面白いことが分かった。へー。なるほどねー。塩に歴史ありだね。
あ、こんなことが面白いのは僕だけかも。別にたいした話ではないから、普通の人が知ってもおそらく「ふーん」としかならない。
こういうの興味ある人がいたら、まぁ塩買ってください。そしたら教えます。いや、別に塩買ってまで知るほどのことじゃないので、僕に会う機会がある人は2分ほどくれたら話すけど、絶対「ふーん」って言う。この塩をかけてもいい。あ、「賭けてもいい」です。塩をまいたりしないから安心してください。
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