DAY8-10:TRIER〜素朴な町でサボり癖をつける
これを書いているのは、もう旅も後半を迎えた11月24日だ。途中から日本から来た家族と合流して、しばらくヨーロッパに住んでいる知り合いを訪ねながら旅行したのだけど、これには大きな問題があった。普通に旅行を楽しみ過ぎてしまい、サイトの更新がおろそかになってしまうのだ。僕は決して意思が強い方ではない。むしろ、流されまくりの人生だ。ひょっとしたらこのサイトを立ち上げたのが、人生で選択した最大の決断だったかもしれない。やらなくてもいいことをやっているという点で、かなりの意思の力を必要とすることなのだ。威張ってみてもかっこ悪いだけだけど。
とにかく、久しぶりに友人と会えば話は弾むし、彼らもせっかくだからといろいろな場所に連れて行ってくれたりするので、一日が終わるころにはくたくたになって寝てしまう。旧友と酌み交わす酒の量が増えるのもサイトにとってはマイナスだ。僕は酒に弱いので、ちょっと飲むとすぐに眠くなってしまうのだ。
もう一つの大きな問題は、日本と離れている時間が長くなるに連れ、僕の日常と日本にいる皆の日常がどんどん乖離していってしまい、何も急いで更新しなくてもいいのではないか、と考えるようになってしまうことだ。当初のイメージでは、もうちょっと商品紹介メインで裏話的にブログを更新することを考えていたのだけど、サイトのシステムがいろんな意味で未完成のため(だと思うんだけど)反応がいまいちなのでどうしてもそこそこ反応を貰えるブログメインの更新になってしまう。実際当初考えていたinstagram→ショップ登録という流れはあまり機能していないので、日本に帰ってからこちらで適当にセレクトした商品をショップに登録しようと思う。オランダからアップしたHOTEL DROOGの商品なんて、日本ではなかなか手に入らないだろうし、自分だったら速攻頼むんだけど、まったく反応がなかったので寂しい限り。スタッフの目を盗んで撮影するの結構苦労したんだけどな。(止められなかったから大丈夫だと思うんだけど、やはりちょっと気が引けた)一人ではしゃいでいる感じが悲しくて、結局何も買わなかったのが悔やまれる。自分のためだけにでも何か買っておけばよかった。恵比寿に完全予約制のショールームがあったらしいんだけど、今はどうなっているんだろう。
ショップの問題として、実験を始める前から懸念してはいたのだけど、いかに商品を魅力的に見せるかという点では、現状考えているomiyaget.comのシステムは不利であると思う。旅先で携帯からキレイな商品写真を取るのは、かなり難しいのだ。特にハイセンスな商品を扱うセレクトショップのような店では、写真撮影自体を止められてしまうことが多いので、ちょっとこの点では苦労をしている。日本のスマホは一部の変態野郎のせいででかい音が鳴るから嫌いだ。次回は絶対に海外仕様のSIMフリースマホが欲しい。それ以外にも、おそらくほとんどの人が、それなりの金額の商品を購入することを決定するまでに少し時間がかかるという問題がある。システムが廻り始めて多くの人が商品を探すようになってくれれば、逆に面白い商品は早く決断しなければ購入チャンスを逃すという競争意識が働いて、購入時間の問題は軽減するだろうと希望的観測をもっているのだけど、現状では僕が急いで商品登録をするメリットがあまりないのだ。
と言うわけで今回は反則だけど、旅行中これ以上サイトに商品登録するのはやめて、こちらで選んだおみやげを日本に帰ってからそれなりにきちんと撮影して登録しようと思う。引き続きinstagramでは気になった商品をアップしていくので、買って来て欲しいものがあった人はコメントなり連絡を入れてください。チラシなどでは商品代金+80%としているのだけど、ここはそれも一旦ナシにして、現地での販売価格を分かるようにして、いくらまでなら欲しいか個別に交渉させてもらおうと思う。その方が本来考えているサイトのシステムに近いので、最初からそうするべきだったかもしれない。一つ残念なのは、バルセロナのフリーマーケット(DAY14-2:BARCELONA〜初フリーマーケット)で思うように商品が売れなかったので、依然としてスーツケースが荷物でいっぱいで、あまりおみやげを買うことができないということだ。どうしても軽くてかさばらない商品メインのチョイスになってしまうし、一商品につき1〜2個しか購入できていない。ベルリンのフリマで商品が売れたら、その分買い物をする資金も持ち帰るためのスペースも空くと思うのだけど、とにかくうまく行くことを祈るしかない。
さて、もう2週間以上も前になってしまったTrierの話をしよう。僕もそうだったのだけど、Trierと聞いてもいまいちピンとこない人が殆どだと思う。Trier(日本語ではトリーアとか、トリールなんて読むっぽい。ドイツ語はわからないけど、英語で話しているとトリーアの方が近い)は、紀元前に作られたというドイツ最古の都市で、ローマ時代の遺跡がいくつも世界遺産に登録されている。その歴史の深さからか、僕が見て来た他のヨーロッパの都市のどこよりも落ち着いていて、どこか寂れた暖かさもある街だ。だからと言って田舎って訳でもなく、それなりの規模の都市が歴史ある古い街並みにうまくブレンドしながら広がっていて、たぶんとても住みやすい街だと思う。僕の高校の時の友人が、街外れの古い一軒家を買い取って、何年もかけて自分たちで修復しながら生活している。
僕は海外旅行に行っても、保管されているような観光地巡りはほとんどしない。そこに住む普通の人たちの生活を、変な意味ではなく覗き見るのが好きだ。駅で友人に迎えて貰ってから彼らの家までの道すがら、車でざっと古代遺跡群の前を通って案内して貰ったけど、僕が本当に感心したのは人々の生活圏に200〜300年以上の歴史がある建造物がそのまま残り、今でも当たり前のように利用されていることだ。友人の家の近所には、1781年に建設された家をキレイにリノベーションして住んでいる人もいるらしい。車で20分も行けば都市に出ることができるのに、古くから共同利用されてきた井戸が残る、素朴な農村のような住宅街(だと友人は言っていた。僕には村にしか見えなかったけど)の生活は、かつてそこで生まれ死んでいった人たちが少しずつ積み重ね、今そこに住む人びとに残されたやさしい暖かさにあふれている。僕はどちらかというと都会好きな人間だけど、「ああ、こういう生活も悪くないなぁ」なんて思ってしまう。人間が作ったものはどこか角があるものだけど、ここで目にする全ては、長い時間をかけて川の小石がまあるく削り取られるように柔らかくとげがないのだ。
そんなところにいると、買い物なんか行かず一日中暖炉の炎を眺めていたくなるのだけど、そう言うわけにも行かないので、面倒に思いながらも(ホント面目ない)バスで街に出た。目玉と言えるほどの大きな買い物ではないけれど、Trierではomiyaget.comのコンセプトを分かりやすく伝えられそうな買い物がちょっとできた。一つは、Trierでアートを学んだMiranda Konstantinidouという女性が作ったKONPLOTTというジュエリーブランドのピアス。これは結構いいんじゃないかな。ジュエリーなんて全く興味がない僕でも、キラキラ輝く店内の宝飾品を眺めていると、女性がこういうものに夢中になる気持ちもちょっと分かった気がしたぐらい。僕の友人曰く、VOGUEやELLEなどの表紙のスタイリングに何度も使われている、ヨーロッパのセレブには大人気のブランドらしい。世界中に店舗を構えているのに、日本では短期間テスト出店しただけなのでほとんど知られていないとか。もう一つは、クリスマスを大切にするドイツらしい、日本ではあまり見かけないラッピング用リボン。軽くて安いし、ちょっとかわいらしいので買ってしまった。せっかくなのでちょっとでも魅力が伝わるよう、頑張って撮影してからショップに登録するので、楽しみにしていて貰えると嬉しいです。